パパ達の「ライフシフト」インタビュー

「複業」は経験や自己成長をもたらす 西村創一朗さん

 

西村創一朗さん

 

株式会社HARES 代表取締役

株式会社カラット 事業責任者

複業研究家

人事コンサルタント

 

 

プロフィール

1988年神奈川県生まれ。大学卒業後、2011年に新卒でリクルートキャリアに入社後、法人営業・新規事業開発・人事採用を歴任。本業の傍ら2015年に株式会社HARESを創業し、仕事、子育て、社外活動などパラレルキャリアの実践者として活動を続けた後、2017年1月に独立。独立後は複業研究家として、働き方改革の専門家として個人・企業向けにコンサルティングを行う。講演・セミナー実績多数。2017年9月〜2018年3月「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」(経済産業省)委員を務めた。プライベートでは10歳長男、7歳次男、2歳長女の3児の父、NPO法人ファザーリング・ジャパンにて最年少理事を務める。

 

 


在職中に、会社を創業

 

今までのストーリーを教えてください。

西村 大卒で2011年にリクルートキャリアに就職しました。

入社して2年目の2013年、自分のキャリアを変えたいという想いにかられました。法人営業の担当で、その仕事自体は楽しかったんですが、このままいっても、営業リーダーとか部長というのが、見えていた道筋。事業開発などをやってみたいと思い、ベンチャー企業に行く手もありましたが、会社を辞めずに複業することにしました。

個人事業主として、まずブログメディアを立ち上げました。ブログの執筆は片道1時間半の通勤時間のみ。毎日欠かさず執筆していました。WEBでも反響が大きく、社内でも話題になりました。その後、新規事業部に異動。リクルートキャリアに在職中の2015年6月に、株式会社HARESを創業。リクルートキャリアは2016年に退職しました。

「リクルートキャリアにそのまま残って、複業したらいいじゃないか」と、いろいろな方から言われましたが、複業という選択肢を広めるためには、会社から出た方が動きやすかったということです。

 

経験や自己成長をもたらす「複業」

 

副業ではなく、複業というのは?

西村 「副業」は余った時間を使って副収入を得るという感じだと思いますが、「複業」は本業ではできないやりたいことへのチャレンジです。副業が消耗型だと長続きしませんから。お金も自分の価値の対価としてあるべきです。

複業は、経験や自己成長をもたらします。会社の看板を使わずに他者に貢献できる仕事です。だから、本業ではできないとき、複業という選択肢を持ってもらえたらと思っています。

 

その複業を広めたいと思ったわけですね。

西村 はい。日本企業の9割が副業禁止という実態もあり、なんとか変えていきたいと思い、自分が動きやすく、やりたいことをわかりやすくするためにも、法人を立ち上げました。

 

西村さんにはたくさんの転機がありますが、一番大きな転機はいつでしたか?

西村 やはり娘が生まれたときですね。長男、次男と男の子のだったので、待望の女の子でした。もうめっちゃかわいいんですよ(笑)。もっと娘との時間を取りたいと思いました。

リクルートワークス時代、通勤は片道1時間半。往復で3時間です。年間720時間を通勤に使っていることになります。そのころの会社はまだ、リモートワーク禁止でしたから。この720時間のできるだけの時間を娘と過ごすことにあてたいと思いました。ちょうど複業の収入が会社からの収入と同じくらいになったこともあり、会社を辞めることにしました。

 

最初の転機は?

西村 学生時代にパパになったことですね。それでネットで検索して、ファザーリング・ジャパンを見つけて、安藤さんに面会を申し込みました!

 

リクルートキャリアを退職後も複業しているのですね。

西村 2017年に独立しましたが、同年6月にランサーズ(株)にも入社しました。タレント社員ということで、週2日2年間勤めました。

 

なぜまた、別な会社にも入社したのですか?

西村 おもしろそうだったからですね。「正社員は週5日働く」という考え方を壊しているところがいいと思いました。

 

いろいろなところに属すのはなぜですか?

西村 100%フリーランスというよりも、半分正社員として働く方が経済的にも仕事のベースとしても安定しますから。

 

ランサーズではどのようなことをしたのですか?

西村 エンゲージメントですね。社員のモチベーションを上げたり、採用や広報なども担当しました。最終的には、自分がいなくても回せるようにというところまで持っていきました。

 

過労死する世の中に子どもを送り出せないから、今できることを

 

今後、考えていることはありますか?

西村 娘が幼稚園に行くようになったら、仕事へのギアを1段あげて、また新しいチャレンジをしたいと思っています。今年、4月から(株)カラットという会社にジョインしました。カラットでは、副業解禁のコンサルタントやメディア運営をします。

「二兎を追って二兎を得る」です。でも、ファミリーファーストはずらしません。家族が一番大事ですから。

 

今はどんなライフサイクルですか?

西村 朝は5時に起きて7時半に出社しています。会社に7時に到着していることもありますね。夕方は16時には会社を出て、帰宅ラッシュ前に帰宅しています。夜は11時には寝ていますね。子どもと8時過ぎに寝てしまうこともあります(笑)。

 

体調を崩していた時期もあったようですが。

西村 いろいろ試行錯誤して今のライフサイクルにたどり着いた感じです。今が一番、バランスが取れていると思います。

2年くらい前から「朝渋」という活動(渋谷のブックカフェで、朝イベントを実施中)を始め、そのころから朝型生活になりましたね。それまでは夜中の2時か3時に寝る生活でした。でも、朝型生活になったおかげで、仕事もうまく回るようになりました。朝起きて、さわやかに過ごせますし、夜2~3時間かかっていた仕事が、1時間で終わります。時間の使い方が変わりましたね。モーニングやランチを食べながら打ち合わせしたり。夕食を食べながらより、(ランチとかの方が安いし)コスパもいいです。飲み会は週1回までと決めています。だから人と会う1回1回を大事にできます。

 

お子さんの送り迎えなどは?

西村 家で仕事しているときはしますし、週1~2回は送っています。子どもに「パパに送って欲しい」なんて言われると、「しょうがないな~♡」ってなりますね。会社を16時に出て、家には17時台に帰宅。その後は子どもと遊んだり、お世話したり。家事も料理以外はなんでもやります。仕事も生活も充実しています。

 

西村さんの生き方のポリシーは?

西村 子どもたちに、いい世の中を残したいんです。2030年に長男が社会人になります。日本のエンゲージメントは現在ワースト8位なんですが、トップ10まで引き上げたいです。過労死する世の中に、子どもを送り出すなんてできません。キーワードは複業解禁、働き方改革です。

 

 

取材・文:高祖常子(FJ理事、育児情報誌ninaruエグゼクティブアドバイザー)