ペンギンパパ・プロジェクトとは

「涙がポロポロ止まらない」

「母親失格かも…」

「子どもが可愛く感じず、つい…」

 

産後のホルモンバランスの崩れに加え、十分なサポート・準備期間がない中での早期退院や高齢出産の増加、核家族化の進行、母子の孤立など、さまざまな社会的背景により「産後うつ」が増加しています。 

 

一方で、出産・育児の知識や情報が不足しがちな父親(夫)は、ストレスで苦しむ母親(妻)を十分にサポートしきれていないのが現状です。夫の常態化した長時間労働や、海外勤務・単身赴任などにより、妻子が家庭内で孤立してしまう情況は深刻です。

 

また産後うつが発症しても、周囲がそれを病気とは思わず、「育児は母親の仕事。それが満足にできないのは、妻(母親)は育児が苦手だから」などと思い込み、治療が遅れ、当人だけでなく、夫をはじめ家族全員に過大な負担がかかるケースも多発しています。

 

そこで、ファザーリング・ジャパン(FJ)では、社団法人日本助産師会と提携して、産後うつの対応と予防を目的とする事業「ペンギンパパ・プロジェクト」をスタートいたします。

 

ペンギンパパ・プロジェクトの事業内容ですが、

 

セミナーの開催

ホームページ等による情報発信

当事者に対する相談・受信窓口の紹介

支援ネットワークの構築 などを行っていきます。

 

FJのプロジェクトなので、特に出産を控えた、あるいは乳児のいる父親たちへの意識の向上に力を入れ、行政や関係機関に対しても総合的支援や、子どものいる男性の働き方改善の必要性を訴えていきます。

 

そもそもFJのこれまでの父親支援活動は、こうした問題の予防に繋がることを期待していましたが、今回のプロジェクトでは産後うつ問題にさらに特化し、日本助産師会と協働で当事者救済とその予防に注力していきますので、関係者の皆さんのご理解とご支援をよろしくお願いいたします。

 

NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事 安藤哲也

 


助産師がこのプロジェクトに関わるわけ

助産師は「女性とともにいて女性を支える」職業です。女性が笑顔で生き生きとしていられるからこそ、子どももパートナーの男性も笑顔で過ごせるのです。私たちは、女性の最大のライフイベントである妊娠・出産・子育てを支え、その後の女性の健康そのものを支えたい…そう考えています。

 

妊娠・出産・子育てを取り巻く現在の環境は、産科施設の減少、孤独な子育て、虐待、経済的不安など暗い話題が多く、メンタルな部分への影響も少なくないでしょう。

 

体も心も生活もまるごと含めて女性を受け止める助産師だからこそ、一緒に考え一緒に歩んでいけるのではないでしょうか。

 

日本助産師会は女性が笑顔でいられる環境をファザーリング・ジャパンとともに作っていきたいと考えます。

 

社団法人日本助産師会 市川香織


プロジェクトへの応援メッセージ

夫のサポートが夫のサポートが強く求められるようになってきましたが、産後うつに関しては、パパがあまり1人で抱え込まないように、ママの欲しいサポートを確認しながら行ってください。

 

ママブルーネットワーク 代表 宮崎弘美

【なぜ、ペンギンなのか?】

 

皇帝ペンギンの卵を孵すのはオス(父親)の役目です。夏に産卵したメスは産卵で体力を使い果たすので卵をオスに預け、冬はエサ場の海に向かってしまいます。残されたオスたちは真冬の南極でメスから預かった卵を3ヶ月間抱き続け、じっと耐えるのです。 

氷点下60度、風速100キロを越すブリザードの中、卵を守るために微かな体温を温存すべくオス達は頭を下げ、風が入り込む隙間もないほどピタリと身を寄せ合って、密集した円陣「ハドル」を組み、寒さを凌いで卵を孵そうとするのです。 NHKスペシャル「プラネットアース」より

 

これは人間の様子とは違いますが、出産・育児における「母親」へのさまざまなプレッシャー(ブリザード)からママと子どもを守ってあげるのは「パパの役目」という点では同じではないかと考え、産後うつ予防のシンボルとして「ペンギン=パパ」をイメージし、プロジェクト名に採用しました。

 

【産後うつ】

 

うつ病の一種。出産後、育児に自信がなくなり、イライラしたり憂うつになったり、子どもを愛せなくなる。頭痛や不眠、食欲不振などが起きることも。出産経験者の1割が患うと言われている。自覚がないまま悪化することもあり、注意が必要。最近では、アナウンサーの女性(0歳児の母親)の自殺の原因としてクローズアップされた。