FJシニアパパインタビュー

「自然なタイミングで47歳の時にパパに

 

はたぶ

幡生祐介さん(50歳)

 

 

プロフィール

 

3歳男の子、0歳女の子、妻39歳との4人家族。

47歳で第1子誕生。

NTT東日本サービス社で管理者として働く。


 

聞き手/シニアパパプロジェクトリーダー 安藤哲也(FJ代表) 2023年5月取材

 

自然なタイミングで47歳の時にパパに

 

―仕事は今どのような感じですか?

東京の本社に所属しており、札幌でフルリモートの在宅勤務です。以前の制度では単身赴任になっていましたが、家族と離れずに子どもとの時間を確保しながら過ごせるので、とても有り難いです。このような働き方が広がってほしいですね。

 

―お子さんを授かったのは?

47歳で授かりました。本当にうれしくて感動しました。

 

―男性が子どもを授かるのは平均32~33歳と言われていますが

自分としては、年齢は意識していませんでした。上の子が生まれたときは、毎日出社するスタイルでしたが、下の子が1歳になる前にフルリモートになりました。ちょうど育児が大変な時期に、仕事と家庭それぞれの時間の最適化ができたり、通勤時間を子どもとの時間や家事に充てることができ、とても良かったです。

 

―同僚などからの反応は?

特に同年代の同僚からは「その年齢で子育てできるのはうらやましい!」と言われます。

 

夫婦間のコミュニケーションのズレを乗り越えて

 

―夫婦間のコミュニケーションはいかがですか?

上の子が生まれてから半年くらいは意見が合わないことがありました。私は頑張ってやっていましたが、妻がやって欲しいことから少しズレていたみたいです。

 

―イクメン病ですね(苦笑)

自分は「あれやるぞ!これやるぞ!」っていう感じで張り切っていましたが、気合が空回りしていたようです。妻は「やってほしいのはそこじゃない」と。その結果、妻にストレスを与えてしまいました。

 

―話し合ったんですね

その後たくさん話し合い、自分の思いや考えを伝えつつ、妻がやって欲しいこととその理由をしっかりと聞きました。やっぱり、言葉で聞かないとわからないですから。お互いに理解し合えたことで、スムーズに家事・育児ができてストレスなく日々を楽しめるようになりました。

最近では妻から「子どもとの接し方がうまくなった」「オキシトシンが出て幸せそう」と言われるようになりました。

 

 

 

―育休取得はどうですか?

1人目の時は2週間の育児休職を、2人目の時は会社の「ライフプラン休暇」(https://group.ntt/jp/diversity/system.html)を取得しました。取得理由を問わず使うことができ、勤続5年ごとに5日間ずつ付与されます。毎週1日、半年間取得しました。

 

―ライフプラン休暇は、周りの人も使っているんですか?

育児に限らずそれぞれのライフプランに合わせて使っています。育休は手続きに時間がかかりますが、この休暇は上司の承認のみで取得できるので、仕事の状況と妻の都合(腰痛改善の整体やカフェでの気分転換など)に合わせて取得できとても便利でした。また、特定の期間に固めて取得するより、子どもの成長や変化の細かい部分を、コンスタントに知ることができました。仕事も、長期間長く休むよりも周囲への負担を軽減でき、自分が取り組みたい仕事を中断することがなく育児の時間を確保できました。

とても良い制度だと実感しています。

 

昭和型の働き方が、家族優先へと“キャラ変”

 

―管理職になったのはいつですか?

41歳の時です。子どもが生まれるまでは、夜遅くまでずっと仕事をしているタイプでした。仕事が終わればメンバーとご飯を食べに行ったり、昭和のサラリーマンマインドでしたね(笑)。

でも子どもができてからは子どもとご飯を食べたり、お風呂に入ったりしたいですから、時間への意識が大きく変わりましたね。上司も理解があり働きやすいです。通勤していた頃は、誰よりも早く定時で帰る日々でした。

 

―家族優先になったんですね

家族でご飯を食べて、子どもとお風呂に入って絵本を読んで寝る。そのために、早く仕事を進めるにはどうしたらいいのかを、今まで以上に考えるようになりました。

 

―それがイクボスの姿ですね。きっと部下も見ているでしょう

「完全に“キャラ変”しましたね」と言われます(笑)。

 

―年齢的にも50歳過ぎるころから無理ができなくなる

長男はやんちゃ盛りなので、そう言っていられません。体力をつけて、子どもとたくさん遊びたいです。妻は現在育休中ですが、仕事復帰したら、もっとハードな生活になると思います。私はフルリモートなので、時間のやりくりがし易いのは助かります。

 

―保育園は送りより、迎えの方が楽しいですよ。送りはぐずったりして行くのに時間がかかることも。夕方のお迎えは、子どもたちみんな笑顔だから。時短取るのも、ママだけじゃなくてパパが取ることも増えてきています

 

そうですね、お迎えには積極的に行きたいですね(笑)。朝は、子どもが父と母のどちらに送ってほしいかを選ぶシステムにしています。子どももうれしそうですし、私も選ばれるとうれしいです(笑)。私が子どもを迎えに行っている間は、妻には夕食の準備をしてもらったりして。私は食事を作るのはセンスがないようで、何かと時間がかかります。

 

―慣れですよ。動画レシピ見たらできるから。男性はたまに作るから「どう?うまいでしょ?」とかつい聞いちゃうからね

 

お互いの得意分野に合わせてうまく役割分担していければと思っていまして、毎朝の3歳長男と赤ちゃんの朝食は自分が担当しています。妻が野菜スープやお粥など、いろいろな冷凍食材を用意してくれているので、私がトマトスープにしたりシチューにしたり、アレンジをして食べさせています。これは、妻からのポイントがとても高いです(笑)。最近は、ホットケーキも作るようになりました。私にとっては大きな改革です。50歳になっても人は変われるんだと、子ども影響力に驚いています。

 

赤ちゃんの離乳食(左):お粥にとうもろこしパウダー、ブロッコリーとトマトの野菜スープにお豆腐。

長男の朝ごはん(右):大好きなきなこ餅、枝豆とソーセージ、バナナヨーグルト、コーンポタージュのパセリは自宅の庭から一緒に摘んできたものです。

 

 

上の子と“男旅”に行くのが楽しい

 

―50歳で新生児というのは、1%弱だそうです

確かに周りにはいないですが、でも1%と言うのは驚きます。会社で「育児パパのリストに、なんで幡生さんが入っているの?」と言われたりします(笑)。

 

―子どもが20歳の時に幡生さんは70歳になりますが、不安はないですか?

子どもが大学を出るまでは生きていられるかな・・と思っています。以前は「明日死んでもいい」くらいの感じでしたが(笑)、今は「長生きしたい」と思うようになりました。昔は外食も多く揚げ物を大盛ご飯で食べたりしていましたが、今は、毎日家で夕食をとり、妻がつくるバランスの良い食事をとっているせいか、ベストな体重になり、人間ドックの数値もよくなりました。

 

―スポーツは何かしていますか?

ゴルフはたまにやりますが、子どもと遊ぶ毎日です。今後はドライブやキャンプにも行きたいと思っています。

 

―0歳児がいると、行動も制限されますね

下の子が生まれて、上の子が近所の公園だと物足りなかったりするので、上の子が3歳2カ月のときに“男旅”に行きました。恐竜の骨格標本を見て、そのまま窓から滑走路が見える空港のホテルに泊まったり。上の子と遠出をすると、ダイナミックに遊べて、下の子ができたことによる寂しさを感じずにいられる様です。妻も、ゆったりした時間を確保でき、やんちゃな長男を叱る回数も減ります(笑)。

 

長男との男旅。水族館の観覧車にて。
長男との男旅。水族館の観覧車にて。

 

―ママが笑顔でいることが大事ですね

意見が合わなかった経験があるので、ママが笑顔でいることが何より大事だということをパパたちに伝えていきたいです。

 

―パパが気づくことが大事だよね。会社の会議みたいに、解決しようとせず、ママの話を聞くこと。地域のパパたちに伝えていってください。

自分の子どもを持つことで、地域の子どもたちにも関心を持つようになったのでは?

 

まさに、そこはやりたいと思っているところです。ご近所には我が子と年の近い子どもが多く、いろいろな育児のスタイルや子どもへの接し方も見ることができ、学びが多いです。その学びを自分の中だけに留めることなく、発信していきたらと思っています。

 

―パパたちに向けてメッセージを

育児は大変であることがメディアなどで多く取り上げられますが、それ以上に幸せで感動にあふれています。ヘルプじゃなく、シェアして、もっとパパたちが深いところまで入り込み、より多くの感動と幸せを実感してほしいです。

 

―ママたちへもメッセージを

育児に入り込めば入り込むほど、ママの偉大さには頭が下がることばかりです。

それ以上、私が言えることはありません(笑)

 

 

 

取材・文/高祖常子(FJ理事、子育てアドバイザー)